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同期モーターと非同期モーターとの違いとは?

工場の生産ラインから家電製品、車両の駆動用まで、さまざまな場面で使用されるモーターには、大きく分けて「同期モーター」と「非同期モーター」の2種類があります。両者は似た用途に使われることもありますが、仕組みや特徴に明確な違いがあります。ここでは、その違いを中心に解説します。

同期モーターとは

基本原理

同期モーター(英:Synchronous Motor)は、回転子(ローター)がステーターの回転磁界と常に同じ速度で回転するモーターです。交流電源の周波数によって決まる「同期速度」に合わせ、ローターが同期して回転します。ローターには永久磁石や電磁石が搭載され、ステーターに発生する回転磁界に同調して動作することが特徴です。

同期モーターのメリット

同期モーターのデメリット

非同期モーターとは

基本原理

非同期モーターまたは誘導モーターとは、ステーターの回転磁界よりもローターがわずかに遅れて回転する仕組みを持つモーターです。この遅れは「すべり」と呼ばれ、負荷が大きくなるほど増加します。ステーターの交流電流が作り出す回転磁界によって、ローター内部で電磁誘導が発生し、トルクが生み出されます。

非同期モーターのメリット

非同期モーターのデメリット

同期モーターと非同期モーターの違い

同期モーターと非同期モーターは、どちらも交流電源を用いた回転機ですが、構造や動作の仕組み、用途においていくつかの明確な違いがあります。以下では、それぞれの観点から違いを解説します。

ローター回転速度の違い

同期モーターは常に同期速度、つまり交流電源の周波数に応じた一定の回転速度で回転します。これに対して非同期モーターは、ステーターの回転磁界よりもわずかに遅れて回転します。この遅れが「すべり」と呼ばれるものです。すべりは負荷の増減に応じて変化します。したがって、回転数の正確性が求められる用途では同期モーターが優れています。

始動方法の違い

同期モーターは、回転子が停止している状態では磁界に追従できないため、補助モーターや周波数可変のインバータ制御などによる始動補助が必要です。一方、非同期モーターは交流電源を直接接続するだけで自然に回転を開始できるため、構造的に始動が容易であり、起動装置も比較的簡易で済みます。

構造の違い

同期モーターは、ローターに永久磁石や界磁巻線(直流励磁)を用いるなど、磁界を能動的に制御する構造を持ちます。これにより高精度な運転が可能になる一方で、構造が複雑です。対して非同期モーターのローターは、リスかご型と呼ばれるシンプルな構造が一般的で、製造が容易でコストも低く、メンテナンス性にも優れています。

力率調整の可否

同期モーターは界磁電流を調整することで進相または遅相の運転が可能であり、力率を改善する機能を持っています。その結果、電力系統の無効電力の調整や電圧安定化にも貢献できます。一方で非同期モーターは基本的に遅相力率で運転され、外部にコンデンサなどの補償装置を設けない限り、力率の改善が難しいのが課題です。

代表的な利用分野

同期モーターの利用分野

同期モーターは、回転速度の正確さや高効率な運転が求められる用途で多く使用されています。代表的な例としては、電気自動車やハイブリッド車に搭載されるPMSM(永久磁石同期モーター)、速度制御が必要なエレベーター、そして送電系統において力率補正を行う同期調相機などが一般的です。

非同期モーターの利用分野

非同期モーターは、構造が単純で耐久性があり、コストパフォーマンスに優れていることから、幅広い産業分野で活用されています。主に、工場内のポンプやファン、コンベヤ、圧縮機といった動力装置のほか、家庭用エアコンや洗濯機などの家電製品にも広く利用されています。

まとめ

同期モーターと非同期モーターは、いずれも交流電源を利用する電動機ですが、回転子が同期速度で回転するか、「すべり」が生じるかによって大きな違いがあります。同期モーターは一定速度の維持と力率調整が可能で、高効率な運転が実現できますが、始動には補助装置が必要です。

一方、非同期モーターは構造が単純で導入コストが低く、始動が容易ですが、回転速度にすべりが生じ、力率調整が課題になることがあります。これらの特徴を理解することで、用途に応じた最適なモーターの選定が可能となります。

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