このページでは、ACモータの仕組みについて詳しく解説しています。ACモータの構造や動作原理、回転速度と出力についてまとめました。コンデンサとの関係についてもまとめています。
ACモータは、「エンドベル」、「玉軸受」、「ローター」、「スプリング」、「ステータ」、「モータケース」などで構成されています。電磁気の誘導作用で回転し、主な要素は回転するローターと回転磁界を作るステータです。
ポリエステル被膜銅線の巻線や絶縁用のフィルムなどからつくられています。
モータケースは、アルミニウム合金ダイキャスト品の内部を切削加工したものです。
アルミニウム合金ダイキャストの導体と電磁合板からなるのがローターです。
そのほか、ボールベアリングや耐熱性のポリエチレン皮膜を使用したリード線、出力シャフトなどで構成されています。塗装はアクリル樹脂、またはメラニン樹脂などを使用した焼付塗装です。
ステーターとローターの働きにより、モーター内部に「磁束」と「誘導電流」を発生させ、回転力を得ます。金属製の円板の表面に沿って磁石を動かすと、磁石を追いかけるように円板が回転する「アゴラの円板」という現象があります。直接手で触れなくても、磁石の働きによって物体を回転させることができます。この作用をステーターとローターに置き換えるとACモーターの動作原理となります。
閉じたコイルを磁界の中に置き、外側の磁石を時計方向に回転させます。コイルに誘導電流が流れ、磁界に作用してコイルに力が発生します。フレミング右手の法則に当てはめると、親指の方向が銅板の移動方向、人差し指の方向に磁束が発生、中指側に起電力が発生します。つまり、コイルは、磁石と同じ方向に回転を始めます。実際のローターは、回転力を効率よく取り出せるように複数のコイルを重ね合わせています。
ステーターに電流が流れると磁束が発生して、ステーターとローターの位置が変化することで、誘導電流が発生し、ローターに誘導電流が流れます。フレミング左手の法則に従って、コイルが回転します。
ステーターがローターの周りを回転することで、ローターが回転します。この磁界を回転磁界といいます。単相電源で駆動するモーター内部には、主巻線と補助巻線の2つの巻き線があります。主巻線は電源に、補助巻線はコンデンサを介して電源に接続します。主巻線には電源からの電流が直接流れます。対して、補助巻線にはコンデンサを介した電流が流れます。単相電源で運転する場合には、進相コンデンサを使ってニ相電源に近い波形を作り出し、回転磁界を発生させています。主巻線に電圧がかかり、補助巻線に電圧がかからないと、主巻線の磁極にN極とS極が発生。次に補助巻線に電圧がかかり主巻線に電圧がかからず、補助巻線の磁極にN極とS極が発生します。主巻線に電圧がかかり、補助巻線に電圧がかからず、主巻線の磁極に先ほどとは逆の磁極が発生。補助巻線に電圧がかかり主巻線に電圧がかからず、補助巻線に先ほどとは反対の磁極が発生。この現象を繰り返すことで、ステーターに発生する磁界が右向きに回転するよう変化する仕組みになっています。
回転磁界の速度を「同期回転速度」と呼びます。回転する磁束について、ローターも回転します。磁束が導体を横切る際に誘導電力が発生するため、回転速度は同期回転速度に対して少し遅れます。これは、無負荷時でも同様です。回転速度と同期回転速度のずれを「すべり」といいます。速度は負荷トルクが大きくなるほど低下します。
ACモータの出力には決まりがあります。モータ出力は、モータの回転速度と定格トルクによって決まるものです。定格回転速度と定格トルクを計算式に当てはめれば、出力が算出できます。
モータからコンデンサを外してしまうと、回転による磁束が生まれず、モータは回転しません。コンデンサの容量も重要です。適切な容量のコンデンサを正しく接続しないと、磁気のバランスが崩れて、発熱や大きな振動が発生する恐れがあります。