Alternating Current Motorの略称であり、交流電源によって駆動する電動機、ACモーター。このページでは、新しい製品の製作にあたってモーターを探している製造メーカーの設計担当者の方向けに、ACモーターの動作原理についてまとめています。
アルミや銅等の金属でできた円板を自由に回転できるようにし、その円板の表面に添って磁石を動かすと、円板が磁石に引っ張られ、その動きに合わせて動くという現象を「アラゴの円板」といい、ACモーターの動作原理は、直接手で触れられなくても何らかの力の働きによって物体を回転させることができるこのアラゴの円板によって説明することができます。
この現象は1824年、アラゴによって発見され、のち1855年、円板に発生した渦電流によるものであるということがフーコーによって解明されました。
これは、フレミングの右手の法則、次に左手の法則を用いて説明することができます。
フレミングの右手の法則において、親指は「円板の移動方向」を、人差し指は「磁束の方向」を、中指は「起動力の方向」を表しており、アラゴの円板の原理に当てはめた時には、磁石が近くにある時、磁石と円板の位置関係が変化し、円板に誘導電流が流れることを表します。
次に左手の法則に当てはめ、親指は「力の方向」、人差し指は「磁束の方向」、中指は「誘導電流の方向」を表し、アラゴの円板の原理に当てはめた時には、磁石が近くにある時、円板に誘導電力が流れ、円盤が回転していくことを表します。
この時円板の回転する速度は、磁石が移動する速度よりも少し遅くなります。これは、磁束の中を導体が移動することにより円板は回転力を得るので、互いの移動速度に差が出てしまうためです。
ACモーターは、ステーターとローターの働きによってモーター内部に磁束と誘導電流を発生させることで、回転力を生み出します。ステーターはローターの周りを回転し、ローターが回転していきます。このような回転する磁界を回転磁界と呼びます。
単相電源である場合は、駆動するモーター内部には電源に接続する主巻線と、コンデンサを介して電源に接続する補助巻線の2つの異なる巻線で、二相電源に近い波形を作り出すことにより、回転磁界を発生させています。
三相電源である場合は、3つの巻線で構成され、これらの巻線は電源に直接接続します。それぞれの電源ラインは位相が120°ずつずれているため、このずれを利用して回転磁界を作り出しています。故に、単相電源で使用したコンデンサは、三相電源では必要ありません。