パソコンやテレビなどの家電から産業用の機械まで、さまざまな分野で利用されているAC・DCコンバーターとインバーター。このページでは、コンバーターとインバーターの違いのほか、パワーインバーターが持つ課題について解説しています。
コンバーターは、交流(AC)の電気を直流(DC)の電気へと変換する装置のことです。パソコンを始めとする家電のほか、電気自動車(EV)でも使用されています。また、直流の電気から異なる電流・電圧の直流を作り出すDCコンバーター、交流電気から周波数が違う交流電気を作るマトリクスコンバーターなどもあります。
一方のインバーターは、直流(DC)の電気を交流(AC)の電気に変換する装置のことをいいます。コンバーターとは逆の電気へと変換する装置で、幅広い分野に利用しています。
インバーターは、電圧を変換するだけでなく、周波数を変換する役割も担っています。日本の電気は、地域によって異なる電圧・周波数の電気を利用しています。そのため、電気を直流から交流へと変換した場合、周波数も変えなくてはいけません。
このような事情から、電源をいったん直流へと変換し、その後再び交流へと変換する装置もインバーターです。このように、電圧や周波数を任意に変換できる装置をインバーターと呼ぶ一方、電圧・周波数が一定の装置をパワーインバーターと呼び、区別する場合もあります。
パワーインバーターは、バッテリーなどの電源を商用電源の周波数・電圧に変換する際に用いられています。しかし、直流から交流へと変換する際に、少なからず電力のロスが生じてしまいます。電力ロスは熱へと変わってしまい、エネルギーとして使うことができません。
パワーインバーターは変換効率が重要で、効率が低いほど電力ロスが生じ、熱が発生してしまいます。熱は機器の動作に支障をきたすことから、冷却ファンの設置や熱を排出する仕組みが求められます。一方、冷却ファンは騒音やノイズを生むため、静音性が必要なシステムや精密機械には不向きです。また、一時電源としてバッテリーを用いた場合、電圧範囲の狭いパワーインバーターでは対応できないケースもあります。