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モーターのノイズ対策

モーターが発生するノイズは、性能低下や周囲への悪影響を引き起こす可能性があります。そのため、ノイズの原因や対策について理解することは、安定したモーター運用において重要です。

電気ノイズが発生する原因

モーターは、ブラシとコミテータによる電気整流を利用して回転を維持します。この過程で、電気の流れが切り替わる際にスパークが発生し、これが電気ノイズの主な原因となります。

特にモーターが停止から動作を開始する際には、通常よりも大きな電流が流れるため、ノイズが増大します。さらに、コミテータとブラシの摺動接触部での不安定な追従や過負荷電流がノイズ発生を引き起こすでしょう。また、コミテータとブラシの接触面に絶縁被膜が形成されることで電気的接触が不安定となり、ノイズが生じることがあります。

電気ノイズの対策

電気ノイズの低減には、モーター端子部分にコンデンサやチョークコイルを取り付ける方法が効果的です。特に、ノイズの発生源に近いロータ部分にこれらの部品を配置することで、火花電圧を効率的に消去でき、コストパフォーマンスも優れています。

モーター内部にはディスクバリスタやディスクコンデンサ、ゴムリング抵抗などをノイズ消去素子として使用し、高周波帯域でのノイズ低減が期待できます。モーター外部には電解コンデンサやセラミックコンデンサ、チョークコイルを外付けすることで、低周波帯域のノイズ対策が可能です。

これらの対策を単独または併用することで、ノイズ低減効果を引き出せます。

電気ノイズの種類

電磁波妨害ノイズは、大きく「ラインノイズ」と「輻射ノイズ」の2種類に分けられます。ラインノイズは電源ケーブルや接続ケーブルを伝わるノイズで、0.15~30MHzの周波数範囲で発生します。

一方、輻射ノイズは空中に放射されるノイズで、30~1000MHzの周波数範囲で発生します。これらのノイズは、それぞれの周波数範囲に応じて測定され、規格により異なる場合があります。

機械ノイズの種類

機械ノイズは、モーター内部の摩擦や振動に起因するものが多いです。代表的なものには、ブラシとコミテータの摩擦による「ブラシ摺動音」、シャフトと軸受の摩擦による「シャフト摺動音」、シャフトのクリアランスが原因で発生する「クリアランス音」、特定の回転数で発生する「共振音」、ロータの振動や移動による「スラスト音」、および冷却ファンによる「風切音」があります。

機械ノイズの測定方法

機械ノイズは、騒音計を使用して物理的に測定します。一般的には「JIS-A特性」と呼ばれる周波数補正を適用し、騒音レベルをdB(RMS)で表します。測定を行う際には、電圧、回転数、負荷、モータの姿勢、マイクの位置などの条件を考慮し、正確なデータを取得する必要があります。

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