モーターの故障はさまざまな原因で発生します。ここでは、モーターの主な故障の種類とそれぞれの対策についてまとめました。
モーターの故障にはいくつかのパターンがあります。これらの故障はそれぞれ原因が異なるので、それに合わせた対処法で改善できないか試しましょう。
初期故障は、使い始めた際に発生する故障で、主にメーカーの設計不適合が原因です。
偶発故障は突然発生し、事前の点検や監視では防げません。そのため、広範なデータ収集と解析が求められます。
劣化故障は、摩耗・疲労・劣化によって発生します。使用期間が長くなると発生率が高まりますが、予知保全で対処できます。
モーターの故障を防ぐためには、適切な保全が重要です。保全にはいくつかの種類があり、メーカーによって内容が異なります。
定期保全は、システムや装置の点検、掃除、取り替えなどを計画的に行うことです。異常の全てを発見するのは難しいですが、3ヶ月に1回や半年に1回など定期的に実施されます。
設備やシステムに故障が発生した後に修理し、原因を究明して再発防止策を講じます。
予知保全は、設備やシステムのトラブルを未然に防ぐ保全方法です。故障や劣化による損失低減が大きい場合に採用されます。
モーターを長期間使用するためには、定期的なメンテナンスが必要です。以下は、特定の症状に対するメンテナンス方法です。
シャフトを支持する玉軸受が損傷している、またはその軸受ハウジングがガタついている場合があります。軸受の交換で修理可能な場合と、両側ブラケットやシャフトまで損傷して修理代が新規製作代を上回る場合があります。まずはメーカーに相談しましょう。
コイルの一部に短絡部分が生じていると、回転時に回転ムラが大きくなります。電流の測定で確認可能で、通常時の5倍以上の電流が流れていれば短絡しています。すぐに動作を停止させてください。焼損品のため修理はできず、モーター交換が必要です。
負荷がバラつく場合、電流の測定波形を観測することで状況を把握できます。負荷のバラつきによる振動の抑制は困難です。ACサーボ・モーターの導入を検討しましょう。
絶縁劣化により、漏電が発生している可能性があります。内部のブラシ磨耗粉を清掃することで絶縁抵抗値は回復しますが、清掃が困難な場合はメーカーに相談することをおすすめします。
モーターの劣化が進行していると発熱してしまいます。軸受の劣化による機械的損傷や磁石の劣化などが原因として考えられます。全体的に劣化が進んでいる場合は、モーターの交換を検討しましょう。
負荷が増大していないにも関わらず回転が遅くなった場合も、モーターの劣化が進行しています。軸受の劣化や磁石の劣化が原因であることが考えられます。全体的な劣化が進んでいる場合は、モーターの交換が必要です。発熱がなく回転が遅くなっている場合は、ブラシが磨耗限界に達し電流が流れにくくなっている可能性もあります。この場合、ブラシの交換で回転状態が回復します。どちらかの判別が難しい場合は、メーカーに相談してみましょう。
また、無理な正・逆転操作により永久磁石の磁力が減衰している可能性もあります。この場合の修理は難しいため、こちらもメーカーに相談することをおすすめします。
表面の錆がひどくなっている場合、内部でも錆が進行していると考えられます。ブラシや電極部分に錆が発生している場合は、モーターの交換を推奨します。錆の除去により使用を継続することも可能ですが、長期使用は期待できません。
軸受の損傷により騒音が増加したか、各部品の劣化によりガタつきが増加していると予想されます。この場合、モーターの交換時期が来ている可能性があります。また、負荷のバラつきやコイルの短絡の可能性も考えられます。
コイル短絡が原因でない場合、永久磁石の磁力減衰が疑われます。無理な正・逆動作による磁力の減衰が原因かどうか確認してください。磁力の減衰は修理が難しいので、メーカーに相談しましょう。
モーターの効率が低下していることを示しています。軸受劣化、永久磁石の磁力減衰、コイル損傷、筐体劣化、ブラシ磨耗の進行など、様々な原因が考えられます。
モーターの異常は多岐にわたりますが、適切な対策を講じることで、機器の寿命を延ばすことができます。問題を早期に発見し、適切なメンテナンスや修理を行うことで、安全かつ効率的にモーターを使用することができます。