安価で、さまざまなシーンで利用されているかご形のACモーター。メンテナンスもしやすいなど、多くのメリットがあります。このページでは、かご形のACモーターの特徴や回転原理・構造、すべりに関する内容についてまとめています。
かご形のACモーターは、 銅やアルミニウムでできた回転子導体がかごの形状をしている電動機のことをいいます。ポピュラーな電動機でもあり、ポンプやベルトコンベアなど幅広い用途で使用されています。
また、導入費用も安価で、簡単に運転することが可能です。構造がシンプルで壊れにくいという特徴もあり、構造上メンテナンスもしやすいのもメリットといえます。設置費用だけでなく、その後のランニングコストも抑制できます。こうした点もかご形のACモーターが広く普及している理由といえるでしょう。
かご形のACモーターは、固定子(ステーター)内にあるコイルにAC電源を流し込むことで、磁界を発生させています。磁界は回転しており、これが引き金となってローターには誘導電流が発生します。そして回転する磁場と誘導電流が作用しあい、ローターが回転する仕組みになっています。
なお、回転スピードやトルクは磁極の数(極数)によって変化します。極数が増えるほどトルクが強くなる一方、回線スピードは遅くなります。ただし、極数だけでなく、すべりの影響も考慮する必要があります。
かご形のACモーターは、軸受部分のベアリング、回転する部分のローター、固定部分のステーターの3つに大別できます。モーターのブラケットを取り外すと、内部にベアリングとローターが組み込まれています。一方でステーターとローターの間には小さな隙間があり、ステーターの鉄心回りにはコイルが巻き付けられています。
かご形のACモーターはすべり(ズレ)に注意が必要です。かご形のACモーターは、磁場とローターの相互作用によって回転する仕組みになっています。しかし、磁場の回転速度とローターの回転層度には違いが生じています。このような状態をすべりといいます。
すべりが小さいと、トルクと回転速度はほぼ比例します。一方で大きくなった場合、トルクが減少してモーターが停止する可能性があります。そのため、すべりによる影響を抑えるよう運転する工夫が求められます。