ブラシ付きモーター
回転子 (ロータ) |
積層鉄心 (コイル巻き) |
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固定子 (ステータ) |
永久磁石 |
制御方法 | ブラシと整流子 |
ブラシレスモーター
回転子 (ロータ) |
永久磁石 |
---|---|
固定子 (ステータ) |
積層鉄心 (コイル巻き) |
制御方法 | 磁極センサと 駆動回路 |
ブラシ付きモーターとブラシレスモーターの構成には、上記のような違いがあります。モーターには固定子と回転子がありますが、コイルに電流を流すことで得られる電磁力によって回転子が回転するという仕組みは、ブラシ付き・ブラシレス共に同じです。
ブラシ付き、ブラシレスの構成の大きな違いは回転子、固定子の素材に何を使っているかです。ブラシ付きは回転子にコイルを巻いた積層鉄心、固定子に永久磁石を使用しています。ブラシレスの場合はそれが反対の構成になっています。
加えて、ブラシ付きは制御方法にブラシと整流子を必要とし、ブラシレスはブラシを用いない代わりに駆動回路が必要になるという違いもあります。
前述のモーター構成の違いは、基本構造の違いにも出てきます。
ブラシ付きモーターはブラシと整流子とが接触することでコイルに電気が流れ、電磁力が生まれて回転子を動かします。回転子が180度回るたびにコイルの電流の方向を切り替え、回転を維持する構造です。電流が大きければトルクも大きくなり、回転もより速くなるという特性があります。
ブラシレスモーターは、ブラシ付きとは回転子・固定子の素材が逆となっていて、磁気の吸引力と反発作用を利用することで回転子を高速回転させるのが特徴。ブラシによる制御がないぶん、モーターの回転数を検出する磁極センサや各種回路が必要となり、基本構造がブラシ付きと大きく異なっています。
構成や基本構造の違いは、耐久性やノイズへのリスクの違いにもあらわれます。
ブラシ付きモーターはブラシと整流子が接触するため摩擦が起こり、火花放電や電気的ノイズ、騒音の発生などのリスクが伴います。
一方、ブラシレスモーターはブラシがないので、当たり前ですがこうしたリスクは存在しません。低振動・低騒音の回転方法なので制御しやすいという側面もブラシレスならでは。ただし、ブラシレスは回転子の位置ごとに電極を制御するので、回転子の位置を検出することが必要になります。
ブラシ付きとブラシレスの違いをまとめると、ブラシ付きは回転子に積層鉄心、固定子に永久磁石を使用し、ブラシと整流子で制御しており、ブラシレスは回転子に永久磁石、固定子に積層鉄心を使用し、磁極センサと駆動回路で制御している、という違いがあります。
そして、ブラシ付きモーターは耐久性やノイズなどのリスクはあるものの初期投資が抑えられるというメリット、ブラシレスモーターには耐久性やノイズなどのリスクが低く、長寿命で制御がしやすいというメリットがあります。
どちらがいいというわけではなく、それぞれの特徴を理解し、目的に適したモーターを選択するようにしましょう。