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ACモーターの電磁ブレーキとは

幅広い分野で使用されているACモーター。電磁ブレーキを組み合わせることで、回転運動の制御が可能になります。細かい制御が求められる時は、取り入れてみるとよいでしょう。このページでは、電磁ブレーキでできることや動作原理、電磁クラッチとの違いについて解説します。

電磁ブレーキの特徴

電磁ブレーキは、電磁力によってACモーターなどの動力をコントロールするための装置です。内部にコイルがあり、通電することで電磁力を発生させています。なお、電磁ブレーキは作動方法が2種類あり、大きく励磁作動形と無励磁作動形に分けられます。

励磁作動形は、コイルに通電することで作動させる電磁ブレーキです。一方の無励磁作動形は、コイルへの通電が途切れた時に作動する電磁ブレーキとなります。そのため、無励磁作動形は電源をオフにした際や、停電によって電源が失われた際に作動します。

電磁ブレーキができること

電磁ブレーキは、主にACモーターなどの動力を制御させるために用いられています。電磁力によって回転運動などを減速させたり、保持したりすることができます。ポピュラーな用途が昇降機械で、リニアガイドにそって昇降機を上下に移動させたり、停止させたりするために取り入れられています。

また、産業用ロボットなどの機械でも電磁ブレーキが活躍しています。例えば、ロボットアームの位置を保持するために電磁ブレーキが利用されています。

動作原理

電磁ブレーキは、主にモーターの後方側に取り付けられています。内部にはブレーキのライニングがあり、ブレーキハブに押し付けることで回転運動の減速や停止をコントロールし、状態を保持しています。ブレーキライニングは、内部のローター(アーマチュア)と一体化している場合もあります。

モーターが動作している間はコイルに電流が流れ、アーマチュアに通電して引き寄せます。通電中、アーマチュアはブレーキライニングから離れていますが、モーターが停止するとコイルから離れます。その影響でブレーキライニングがブレーキハブに押し付けられ、モーターの状態が保持されます。

電磁ブレーキと似ている電磁クラッチ

電磁ブレーキと似たものに電磁クラッチがあります。電磁クラッチは電磁力によって動力を連結させたり、切り離したりするための装置です。電磁力を使う点は電磁ブレーキと同じですが、動力の減速や停止、保持などは行いません。あくまで動力を停止させることなく、連結と切り離しを行うための装置です。位置は保持させませんので、状態の維持が必要な時は電磁ブレーキを使用するか、電磁クラッチと組み合わせることが求められます。

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