幅広い用途に用いられているACモーターですが、パワーが求められる機器・装置に適しているのが大型の製品です。工場のベルトコンベアやポンプなど、トルクを必要とする場面で多用されています。ここでは、大型のACモーターの製品情報や開発事例をご紹介します。
愛知電機が製造・販売している大型のACモーターです。こちらは低騒音タイプで、モーター特有の音を低減しています。ビルや店舗の空調設備、海上コンテナの冷凍設備など、さまざまな用途に適応可能です。
出力範囲は1.5kW〜11.25kWと、幅広く対応しているのも特徴。バリエーションも豊富に取り揃えており、多様なニーズに合わせた仕様をラインナップしています。モーターの効率と騒音低減の両立が求められるなら、候補に入れてみるとよいでしょう。
日本電産サンキョーが製造販売しているACサーボモーターです。パワフルな大型のモーターで、ベルトなど機械の剛性が低い用途に向いています。質量は9.0kgで、駆動電圧はAC電源200〜240Vとなっています。
モーターのパワーも特徴。トルクは定格4.77/N・mですが、瞬時最大トルクは14.3/N・mと、かなりのパワーがあります。回転速度は定格2,000rpm/分、最高3,000rpm/分となっています。モーターに粘り強いトルクが求められる機器・装置におすすめです。
大型のACモーターモーターは、噴水ポンプとして使用されている事例もあります。日本電産が開発したもので、世界で第2位、北米で第1位の高さ(192m)の水を吹き上げる噴水で利用されています。耐久性が高く、かつ長寿命を実現しています。
高出力の揚水ポンプ用モーターは、プロペラの揚力によって生じる軸方向の応力(スラスト力)が問題となりがちです。使用する状況によっては、ポンプには数トンのスラスト力が生じます。大きな力となるため、モーターの作動に影響が生じたり、部品に負荷がかかったりすることも珍しくありません。
しかし、こちらのモーターは中空のシャフト構造を採用し、高強度のベアリングを組み合わせることで、スラスト力の問題を解決しています。これにより、モーターの耐久性を高めているのが特徴です。また、モーターには潤滑システムも取り入れられています。潤滑システムは油膜切れを防ぐ構造になっており、焼き付きが発生しません。ポンプの焼き付きを防止することで、数十年間トラブルフリーの運転を実現しています。