PMモーターとはどのようなもので、何に使われているのでしょうか。このページでは、ACモーターに分類されるPMメーターについて紹介していきます。
PMモーターはACモーターの中でも同期モーターに分類され、回転子(ローター)部分に永久磁石を使用したモーターのことを指します。回転子に二次電流が流れない構造のため回転子にロスが発生せず、誘導モーターに比べて省エネルギーで高効率であることや小型化なことなどが特徴です。
PMモーターは永久磁石の研究開発の進みとともに発展してきました。1930年代にアルコニ磁石やフェライト磁石が開発され、1960年代には希土類系磁石が開発。これらが応用されたDCモーターやステッピングモーターなどがつくられました。PMモーターの「PM」は永久磁石という意味を持ち、特定の原料から作られた磁石を指しているわけではありません。さまざまな種類の永久磁石を指していて、時代によってPMモーターと呼ばれるものが何かなのかについては異なります。
PMモーターはローター部分の構造によってさらにIPMモーターとSPMモーターに分けられます。それぞれの特徴についても見ていきましょう。
IPMモーターは、PMローターの中でもローター部分に永久磁石を埋め込んだもののこと。専用インバータを使って安定した回転が得られる同期モーターです。設定周波数に同期して回転するため、ある程度負荷が変動しても同期回転数が変わらないという特徴があります。
IPMモータは発熱や負荷変動に対する回転の変化を気にする用途で性能を発揮します。誘導電動機と比較して省エネルギーで高効率であり、発熱が少ないため放熱面積が小さいことから電動機の小型化や軽量化が可能です。省エネ効果があり、コスト削減につながるでしょう。
SPMモーターは、ローターの表面に永久磁石を貼りつけた回転会磁形式の同期モーターのこと。磁石の持つ強い磁気を効率的に利用することができ、モータートルクのリニアリティーが良く制御性に優れているという特徴があります。磁石形状を最適化することでコギングトルクの小さなモーターとなるでしょう。
近年では、省エネルギーやクリーンエネルギーといった観点から利用が拡大中。一部の電動自動車や電動パワーステアリング、産業モーターなどに使用されています。
PMモーターはさまざまな用途に使われています。例えば、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)です。近年HVやEVが注目されるようになり、これらの動力源として永久磁石モーターが重要な存在となりつつあります。その中でも効率性や小型化、コスト面といった面に優れているPMモーターはHVやEV用のモーターとして利用されるようになりました。
SPMモーターは高速回転にはあまり向いていませんが、IPMモーターは回転子内部に磁石が埋め込まれているため高速回転に向いています。また、大きなトルクを生みだすことができて鉄損の低減も可能なことから採用されるケースが多いです。最近になって高性能ネオジム磁石を使ったIPMモーターが開発されたことから、さらにHVやEV用のモーターとして利用されることが増えてきました。
今後もPMモーターは用途を拡大し、よりさまざまな分野で使用されていくことになると考えられます。