モーターを搭載する機器によっては、反対方向への回転が必要になる場合もあるでしょう。モーターの逆回転は可能であるものの、方法によっては機構を傷めるリスクがあります。ここでは、ACモーターを逆回転させる方法や逆相のリスクについて解説しています。
もし三相のモーターを逆回転させたい場合、リスクがあると考えておきましょう。三相モーターで逆回転させると、ギヤを破損させるおそれがあります。回転を逆にする瞬間、モーターは反転する動作を行います。しかし、これまでとは違う方向に動作しようとするため、ギヤに強い負荷がかかってしまうのです。その結果、ギヤが破損してしまう場合があります。
また、回転方向を変える際に結線を入れ替えますが、瞬間的に電源が短絡します。電源が失われてしまうため、装置が停止する可能性があります。
単相のモーターを逆回転させる時は、いったん停止させなくてはいけません。慣性不可が大きな状態で瞬間的に正逆回転させてしまうと、回転方向が切り替わらない可能性があるためです。無理やり逆回転させようとした場合、機器の動作に影響が及ぶリスクがあります。ギヤに負荷が生じ、破損してしまうこともあるでしょう。
単相のモーターは、動作が停止した状態で逆回転させることが重要です。そのため、回転方向の切り替えに時間がかかる場合があります。
もしACモーターを逆回転させたい時は、レバーシブルモーターを利用するのも手でしょう。モーターを停止させる工程を簡略化できます。
レバーシブルモーターは、回転方向をスピーディに切り替えられるモーターです。モーターの後部に簡易的なブレーキ機構が取り付けられており、摩擦で負荷を加えることによってモーターの回転を停止させています。瞬時に回転方向を切り替えられるため、正逆回転を頻繁に繰り返す機械や用途に適しています。
インダクションモーターとの違いは、正逆回転させる速さにあります。レバーシブルモーターは瞬時の正逆回転が可能です。一方のインダクションモーターは、結線の正逆を入れ替えてもトルクが発生しており、瞬時に方向転換ができません。一度停止させて結線を変え、逆転させる動作が必要です。
もしモーターの逆回転を想定していなかった場合、逆相の状態になる可能性があります。逆相時に過剰な抵抗が発生し、モーターや機械の発熱を招いてしまいます。冷却機能が正しく動作しないリスクもある点に注意が必要です。逆相を予防するためには、逆相リレーを設置してスイッチ操作を制限するなどの対処が求められます。