ステッピングモーターとは何か、その特徴や仕組みを中心に解説します
ステッピングモーター(Stepper Motor)とは、パルス信号(電気のオンオフなど)を1回与えるごとに、決まった角度だけ“カクッ”と回転するタイプのモーターです。普通のブラシ付きDCモーターは電圧をかけるとずっと回転し続けますが、ステッピングモーターは「ステップ角」と呼ばれる一定の角度で細かく回る仕組みになっています。
たとえば1ステップあたり1.8°のモーターの場合、パルスを1つ入力するたびに回転軸が1.8°ずつ回ります。このように、送るパルスの数を数えるだけで回転角度が正確にわかるので、位置決めがとても正確に行えるのが大きな特徴です。
ステッピングモーターは「パルスモーター」とも呼ばれます。パルス信号をモーターに送るだけで、エンコーダなど追加のセンサーを使わなくても(オープンループ制御)、軸を決めた角度まで回せるからです。そのため、ロボットやプリンター、工作機械など、正確な位置制御が求められる機械に幅広く使われています。
昔から、磁気ディスク装置(ハードディスク)やプリンターの紙送りなど、位置を正確に制御したい場面がたくさんありました。ステッピングモーターはパルス(デジタル信号)で角度を管理できるので、そうした用途にぴったりでした。その結果、家庭用から業務用まで幅広く普及してきたのです。
今では3Dプリンターやロボットアームなど、身近な機械にも広く使われるようになっています。
ここまでがステッピングモーターの基本的な仕組みと特徴です。次の章では、ステッピングモーターのいろいろなタイプや内部構造について、もう少し詳しく見ていきましょう。
(PM型・VR型・HB型などの各方式や、巻線構成について詳しく解説します)
ステッピングモーターには、大きく分けて下記の3つの方式があります。
ローター(回る部分)に永久磁石を使った方式です。ローターの周囲にN極とS極を交互に配置してあるので、コイルに電流を流すと磁極が引き合ったり反発したりして回転します。
歯車のような鉄心をローターに使って、ローターやステーター(固定子)の歯同士が磁界で引き合うことで回転するタイプです。
PM型とVR型を組み合わせた構造で、軸方向に配置された永久磁石と、N極側とS極側で歯がずれた鉄心を利用し、細かいステップ角を実現します。
ステッピングモーターの巻線は、2相がポピュラーですが、3相や5相なども存在します。相数が増えるほど、ステップ角がさらに小さくなって回転が滑らかになる一方で、ドライバ回路が複雑になる傾向があります。
また、巻線のつなぎ方にはユニポーラとバイポーラの2種類があります。
中には8本リードのモーターがあり、配線の仕方を変えるだけでユニポーラ/バイポーラ両方に対応できたり、パラレル接続やシリーズ接続を切り替えられるタイプもあります。