モーターの効率はエネルギー消費に直結する重要な要素です。効率基準は各国で規定されており、国際的な標準も存在します。これらの規格を理解することで、エネルギー効率の高いモーターの選定が可能となるでしょう。
日本国内では、モーターの効率は日本工業規格JIS C 4034-30によって規定されています。この規格は国際規格IEC 60034-30に準拠しており、効率クラスとしてIE1(標準効率)、IE2(高効率)、IE3(プレミアム効率)、およびIE4(スーパープレミアム効率)が定められています。
世界各国でもモーターの効率規格が定められています。国や地域ごとに異なる規格が存在し、それぞれの規制内容や基準値は様々です。これらの規格を理解すれば、海外のモーターを選ぶ際に役立つでしょう。
アメリカでは、エネルギー独立安全保障法EISAに基づき、モータの効率基準が設定されています。効率レベルはモータの電圧や形状によって異なり、レベルはIE3レベルまたはIE2レベルです。さらに、省エネ性能を評価するためのEnergy Guide StandardsやAppliance Efficiency Programなどの認証制度も存在しています。これにより、アメリカ市場におけるモータのエネルギー効率向上が図られています。
メキシコでは、NOM規格が適用されています。2011年から施行されたNOM-016-ENER-2010により、IE3(プレミアム効率)およびIE2(高効率)のモータが規制対象となっています。輸出される際には、この基準をクリアしたモータでなければいけません。
また、省エネ性能に関してはNOM-32-ENER-2013によって規制されており、エネルギー効率の高いモータの導入が促進されています。
ヨーロッパでは、ErP指令およびIEC規格が適用されています。2017年以降、IE3効率クラスの基準を満たすことが求められるようになりました。これにより、ヨーロッパ全域でのエネルギー効率の高いモータの使用が義務付けられています。
韓国では、国家規格である韓国産業規格(KS)によってモータの効率基準が規定されました。1992年に導入されたエネルギー消費効率等級表示制度により、現在はIE2レベルの高効率モータが基準とされています。
さらに、段階的にIE3レベルの効率基準が導入されています。省エネ性能に関しては、MEPSエネルギーラベルプログラムが運用されています。
中国では、国家規格としてGB規格が適用されています。モータのエネルギー消費効率がGB18613規格で定められており、基準を満たさないモータの生産や販売は禁止されています。効率クラスはIEC規格と整合しており、例えばGB3級はIE2相当です。省エネ性能については、中国エネルギーラベル制度によって認証されています。